コミュニケーションツールと“持ち寄り型”プロジェクトマネジメント - DevLOVE関西#87 その2
その2です。その1はこちら。
ストック型+フロー型ツールの導入で社内を巻き込んだ話
登壇者:白石尚也さん
松尾浩志さん
TAM株式会社
はじめに
ストック型とフロー型とは…
ストック型:Qiita:Team、Docbase、esa.io
フロー型:Slack
ストック型ツールについて
登壇者:白石尚也さん
TAM株式会社 クラウドアプリケーション事業部
TAMについて
パートナー型デジタルプロダクションを行っている
→身も心もどっぷり受託
体制としてはプロジェクトチーム制
最大20人でディレクター、デザイナー、マークアップで構成
発生していた問題点
顧客の満足・品質にこだわっているため、勤務時間が長くなり疲弊していく
→疲弊しない受託開発をするためにチーム力向上を図る必要あった
新しいことにチャレンジする案件がほとんど
つまり必ずどこかでハマるポイントがあり、自分がハマったことは他の人も必ずハマる
→どうやって解決したか共有、コミュニケーションを取れるようにしたい
案件が複数(常時5〜7件)同時進行
時期によっては1人に業務が集中する
→チーム全体がメンバーの仕事状況を把握し、お互いが助けれるようにしたい
問題解決のためにDockbase導入へ
Dockbase導入の苦労
3つくらい壁があった
- どのツールを使ったらいいのか問題
- リーダーを説得するにはどうしたらいいか問題
- 書いてもらう、読んでもらうにはどうしたらいいのか問題
どのツールを使ったらいいのか
有名なストック型ツールは3つあった
- Qiita:Team … 一番有名
- esa.io … デザインイケてる
- DockBase … シンプル
さてどれにしよう…?
ツール選定のポイント
誰でも使えるわかりやすいUIのツールにしたい
エンジニアではない人が大半であることを考慮しないといけない(そもそもMarkdown書けない)
→つまり、たとえ機能が多くても直感的でないと使われない
使用ツールが増えてきているので学習コストを下げたい
3大ツールの検証
有志を募って1週間ずつ使ってみた
Qiita:Team
機能が一番豊富だが、プロジェクト・タグ・メンバーから記事が探しにくい
投稿ボタンどこやねん(解像度が低いと見切れる)
esa.io
かわいいデザインはGood!でもなんで英語?
カテゴリとタグの付け方がわからない
→結局だれもタグ付けしない
WIPって何?という意見も
DockBase
シンプルで分かりやすい(最後に試したというのもあるが)
エディタ機能付き、かつMarkdownの書き方がすぐ分かる
投稿ボタンが見える笑
メニューから記事が探しやすい
自分の活動、他人の活動が目に見える
結論
シンプル・見やすい・探しやすいということでDockBaseを採用することに
リーダーを説得するポイント
いきなり全員で使うのではなく、少人数でスタートし巻き込んでいく
リーダーが気になることを書く(朝会、日報)
リーダーになんとなく効果を実感してもらう
DockBaseは今なら無料!
→無料のうちにメチャクチャ使って寝技にもちこむっていうのもアリ
書いてもらう、読んでもらうポイント
何をかいてよいかわからないし、書く時間がないという意見がツールの振り返りで判明した
とにかく書けるものから書く
朝会、日報、ふりかえり、議事録など
→なるべく所感も書いてもらう
調べたこと、解決した方法も形式張らずに書く
さらに、投稿を通知して読んでもらう(チャット通知に連携)
読んだら反応する風習を社内につける
壁を乗り越えた結果
チームの会話、コミュニケーションが増えた
→答えはそこになくても、あの記事を書いた人なら分かるかも
チームメンバーの状況が可視化された
→朝会、日報、ふりかえりによってお互いがフォローできた
今困っていること
記事の精度をどこまで求めたらいいのか
→記事のレベルアップ最終盤は別のWikiにまとめるとか?
タグが煩雑になりそうな予感
→すでに独自の見解による謎タグの氾濫が…笑
より活発に使われるためにはどうしたらいいんだろう
→この後のワークショップで話しましょ!
まとめ
やりたいと思ったらまずは少人数で試してみる
→協力してくれる人は必ずいる!
どんなことでも残っている安心感が得られる
記事の内容も大事だが、記事を書いた人とコミュニケーションするきっかけ作りになることがとても重要
フロー型ツールについて
登壇者:松尾浩志さん
TAM株式会社 CTO
導入前の問題点
メール+チャット(Skype)が中心だった
Skypeはプライベートなやりとり向きでクローズド
オープンな場所に情報が集まらない
オープンな場所は全社メールくらい
気軽に質問・共有できない
どうにかしたい どうしたい?
知らなかったことを知ったら「これ知ってた!?」って気軽に言いたい
分からないことを知ってそうな人に気軽に聞きたい
なぜSlack?
チーム全員参加のチャットルームがデフォ
Githubなど他ツールからの通知をSlackに流せる
イケてるもん触ってる感
Slackを情報共有のハブとして
IFTTT連携も活用することでタイムライン的に情報が集まる
いろいろな社内ブログを更新したら流すようにみたいな情報共有の仕組みができた
hubotでカスタマイズしたりもできる
社内へのアプローチ
新しいモノを試すときの人の反応タイプはこんな感じ
- 新しもの好き、試行に積極的 →少数派
- ツールは特に何でもいい →多数派
- めんどくさい… →多数派
- ぜったいイヤ! →少数派
まずは新しいもの好きの少人数で試行してみて、のちに多数派にアプローチしていった
コミュニケーション上の工夫
なごむ雰囲気を作る
→業務外のチャンネル作ったり絵文字を登録したりとか
→TAMくんbot
TAMくんbotとは?
→人がなごむpostするには限界がある、スベったら凹む
→かわりにTAMくんbotになごむ返信をしてもらう
TAMくんが使われる場面はこんな感じ
→お昼時を知らせたり、明日は雨の予報のときに通知したり
→ビールアイコンに反応したり
→よろしくお願いしますに反応したり
どうでもいいことを書いてOKな雰囲気に
たらいまわし作戦
誰も答えない場合はたらいまわす!
どういうことかというと…
誰かが全体にふわっと質問する
↓
誰も答えない
↓
やばい、このままでは誰も質問してくれなくなる
↓
分からないなら分からないと返答しつつ詳しそうな人を名指ししてしまう
↓
そうすることでコミュニケーションが止まらない
Slackを導入してみて
持ち寄れる下地ができた
→気軽に質問したり教えたりできる場所ができた
→チャットにいるだけで情報共有できるようになった
まとめ
「良いしくみ」をもつツールがフィットすると、仕事の流れが予想以上にいい方向に変わるケースもある
遊び要素・和み要素は重要
しくみを作って終わりではなくコミュニケーションを潤滑にまわす努力は必要